リーゼント倶楽部の幹部たちが集められ会合が行われた前回。しかし、お寿司俱楽部からの襲撃を受け幹部二人がやられてしまう。それに激怒した総長サチ。手を止めない中トロ夫人とその側近のいなりおじじ。果たしてばばあリーゼント俱楽部はどうなってしまうのか!?
お前らずいぶんと派手にやってくれたじゃないか…
うわあ…サチさん本気だ…
すごい…これがリーゼント俱楽部総長の本気…立っているのがやっとだわ…
おい、いなり。まずはお前からだぜ…秒で潰してやるよコラぁ。
なめやがって…お前なんかにやられる俺ではない…!!
消えた…??あのばばあどこに…
ここだよ
な、なんだとぉぉぉぉぉ!!!
リーゼント俱楽部の総長、人類最強のおばばに吹き飛ばされたいなりおじじ。殴られた瞬間あまりの威力に気を失っていた彼だが、のちに目を覚まし気が付くと彼は…
大気圏に浮かんでいたのであった…
次はお前だよ。中トロマダム。
ふん、年老いた老人のくせにやるじゃない。
今さらだけど…二人ともなんでこんなことするんですか!?昔は仲良くやってたじゃないですか!?
え?二人とも仲良かったの??
うるさいわね、もとはと言えばこいつが全部悪いのよ!!
~数年前
数年前、私はこいつと大将と馴染みの深い行きつけの寿司屋に連れていったの。
私は美味しいお寿司を食べてもらいたい、その一心だけで大将と何回も何回も入念に打合せして、何のお寿司を出したら喜んでくれるか三日三晩考えて、朝の仕入れまで付いていったのよ。
そして当日。乾杯してお通しの”ホヤの塩辛”を食べ終わった後、事件は起きたわ。
ちょっと失礼。
サチはその一言だけ言った。
次の瞬間、サチは盛り上がったの。
私は意味がわからなくて隣をパッと見たら、ケツの部分がパンパンに膨れ上がっていたわ。
もう何となく分かると思うけどこいつはクソを漏らしたわけ。え?私と大将は戸惑ったわ…そんな私たちを尻目にアイツは何をトチ狂ったかわからないけれど、次に提供するはずのさんまの寿司に自分のクソを乗せて…
脱糞!!!とだけ言い放ち意気揚々と帰っていったわ。残された私たちは意味がわからなすぎて3年寝込んだのよ!!
何だその規格外すぎるエピソードは。
おいおい、漏らしちまったんだから仕方がねえだろうが。
はあ???百歩譲って漏らすのはしょうがないわ。でも寿司の上にクソ乗せるってどういうことよ!?当日の朝、漁港まで行って仕入れたのに!!
もういい…許さない。私は本気でアンタを潰すわ…中トロマダム本マグロモード!!
うわ頭に立派な本マグロが乗ってる!?
これはまずいな…おい!よく聞け!本マグロモードの中トロマダムは私でもかなり手こずる。だから蔵に行って先代のリーゼントを持ってきてくれ!
あのリーゼントを装着すればパワーアップできる…今すぐ持って来い!!
させないわ。来るのよ!かっぱ巻きおばば軍団!!!
こいつらは…かっぱ巻きおばばシスターズ!
かっぱ巻きおばばシスターズとは、かっぱ巻き好きの6姉妹が集まって結成されたユニット。6姉妹とうたってはいるものの本当の血縁関係ではない言わば叶姉妹スタイルで活動している。
こいつらに追いつかれたらボコボコにされるぞ!今すぐ行け!!
はい!!!
ババア達は走った。
何十年も生きてきたその老体にムチ打って体を酷使し、時折骨を軋ませながらとにかく走った。
途中普通に歩いている時間はあったものの、それでもお互い一歩ずつ蔵に近づいていった。しかし、平均年齢85歳のかっぱ巻きおばばシスターズの脚では、68歳のヨシ江に距離をどんどん離されてしまう。どうすればよいものか?一度歩みを止め10分間の協議を行った結果…
全てを投げ出し、それぞれ家路につくのであった…
その頃、ヨシ江は蔵に到着していた。
おいおい、明らかに異様な箱があるぞ。絶対あれだろ開けてみよう。
こ、これが…初代総長の伝説のリーゼント…なんだかただならぬオーラを発してる…
あと…ちょっとクサイ!なんか匂うぞ!…でもそんなこと言ってる場合じゃないわ早く持って行かないと…
ヨシ江はまた走った。死んだばばあの人毛を小脇に抱えてとにかく走った。
サチさん!!ただいま戻りましたよ…ってうわぁぁぁぁ!!!
やっと帰ってきたかい新人!
サチさん大丈夫ですか!?
見ての通り私は攻撃を受けすぎた…もうこの体も限界に近い…だからもうお前がそのリーゼントを被って代わりに闘ってくれ!!
え???
頼む!早く!!!
(いや闘うのはいいんですけど、潔癖症の私がこれを?これを被るの??)
(意外と綺麗好きな私だって言うのに死んだばばあの人毛を被るの?ずっと蔵で眠ってたっていう人毛を…???)
おい!早くしろ!!!
…うぅ、…うわぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!
させないわ!本マグロランチャー!!!
なんですって!??
…うわぁぁあ体が…勝手に動くぅぅうう!!!
ぎゃあああああ!!!
す…すごい…すごすぎる…寿司マダムを一発で倒したわ…
痒い!!!そんなことより頭かゆい!!!
悔しい…なんで私ばかりこんな目にあうのよ…!!!なんで…なんでよ!?悔しいわ…うわぁぁあああああああああん!!!
中トロマダムは泣いた。声を荒げてただひたすらに子供のように泣いた。
寿司にうんこを乗せられたこと。そのショックで3年寝込んだこと。理不尽なリーゼントにぶん殴られて負けたこと。色んな思いが重なり情緒が複雑になった中トロマダムはただひたすらに泣いた。
そんな彼女を見て二代目総長山田サチは謝罪した。
過去のことは水に流してこれからは仲良くしてくれねえかと…中トロマダムはそれを受け入れて2人は和解したのだった。
和解の後、中トロマダムは皆にお寿司を振る舞ってくれた。中トロマダムが握ってくれたお寿司は心なしか少しだけしょっぱかった…
あれ?このリーゼントって外れます??外れないんすけど…
これにてリーゼント俱楽部完結!!!
許さん…許さんぞ!!!
…続くかも!??